暗号通貨というスピード感あふれる、時に混沌とした世界では、業界の内側にいる人が放つ鋭いツイートほどコミュニティの空気を的確に捉えるものは少ない。最近、Solanaインフラの強豪であるHelius LabsのCEO、Mertが投下した一言がCrypto Twitter(略してCT、暗号好きやトレーダー、ビルダーが集まりブロックチェーンに関するあらゆる議論を交わす賑やかなオンライン拠点)で大きな反響を呼んでいる。
彼が2025年11月2日に投稿したツイートは、いわゆるオッカムの剃刀(より簡潔な説明が通常は正しいという哲学的原則)をもじった「CTの剃刀」と銘打たれている。要は、プロジェクトを「詐欺」と断じる基準が、自分が関与しているか否かだけで決まってしまうという皮肉だ。ツイート全文は以下の通りだ:
CTの剃刀:
上がって自分が蚊帳の外なら — 詐欺だ
下がるなら — それも詐欺だ
要するに、自分の話でなければそれは詐欺だ
retardio
返信スレッドの全貌はオリジナル投稿 ここ で確認でき、コミュニティからのユーモアと自己反省がさらに重なっている。
CTの剃刀を読み解く
この「剃刀」が示しているのは、特にメムトークン界隈で顕著な心理的バイアスだ。メムトークンはインターネットジョークや動物、馬鹿げたコンセプトに触発されたコミュニティ駆動の暗号資産で、誇大宣伝やFOMO(取り残される恐怖)、バイラルマーケティングによって成長する。一方でボラティリティが高く、開発者がトークンを売り抜け資金を持ち逃げする「rug pull」など、詐欺が発生しやすいことでも知られている。
Mertの言いたいことは簡潔だ。CTの多くは自分の利益というフィルター越しにしか正当性を見ていない。$RETARDIO のような(不遜なブランディングで話題のSolanaベースのメムコイン)が急騰したとき、自分が傍観者であれば妬みから「詐欺だ」と叫びがちだ。逆に、自分が買った後に下落すれば、同じレッテルで損失を正当化する。オチの「retardio」はこの滑稽さを巧妙に示しており、おそらくメムコイン文化に蔓延する自己卑下的なユーモアや、実際の $RETARDIO トークン自体を暗に指しているのだろう。
この考え方は暗号に特有のものではないが、24時間動くマーケットとソーシャルメディアのエコーチェンバーによって増幅される。元CoinDesk編集者として、多くの有望なプロジェクトが単に「乗り遅れた」ことを理由に詐欺呼ばわりされ、その後に反発して復活するサイクルを何度も見てきた。
ミームトークン愛好家にとってなぜ重要か
Solanaのような低手数料・高速処理のプラットフォームでは、メムトークンのローンチや取引が非常に容易だ。この世界に飛び込むなら、この種のバイアスを理解することが重要だ。Mertの所属するHelius Labsは、ブロックチェーンとやり取りするためのRPCs(remote procedure calls)やデータAPI、取引インフラといった重要なツールを提供しており、多くのエコシステムを支えている。ミームの背後には、本物の技術が動いていることを忘れてはいけない。
例として $RETARDIO を見てみよう。Solana上でローンチされ、流通供給は約9.99億トークン、時価総額は数百万ドル規模(CoinMarketCap などのサイトによる最近のデータ)で推移している。価格は伝統的なファンダメンタルズよりもコミュニティの感情に左右され大きく変動する。もし早期に入って大きく上がれば天才だと讃えられ、乗り遅れれば「ただの詐欺だ」と切り捨てられるわけだ。
Mertのツイートに寄せられた返信もこれを反映している。一人は「すべてが詐欺、時間の問題だ」としゃれを飛ばし、別の人は「Rugtardio」と冗談めかしてrug pullを揶揄している。リスクへの共感と同時に、メム投資のスリルを楽しむ姿勢が見て取れる。
ブロックチェーン実務者への教訓
この分野でビルダーやトレーダーをしているなら、CTの剃刀は自分のバイアスを点検する警鐘だ。「詐欺」という決めつけに頼る代わりに、もっと深掘りしよう:Solana Explorer(https://explorer.solana.com/)のようなエクスプローラーでトークンのスマートコントラクトを確認し、チームの透明性やコミュニティの関与度を見極める。Heliusのようなツールはリアルタイムデータを提供し、情報に基づいた判断を助けてくれる。
結局のところ、暗号、特にメムトークンはテクノロジーと同じくらい心理学の影響が大きい。Mertのウィットに富んだ指摘はノイズを切り裂き、少し自分たちを笑い飛ばす余裕を思い出させてくれる。何しろ、「retardio」が批判でもありコインでもあるような世界では、地に足をつけることが繁栄の鍵だ。
Meme Insiderでは、Solanaの話題作からEthereumの珍品まで、最新のメムトークン動向をさらに分解してお届けします。あなたはCTの剃刀についてどう思いますか?ぜひコメントを残してください!