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Limitlessトークンのローンチ:中退のアイデアからBinance劇の中で$800MのFDVへ

Limitlessトークンのローンチ:中退のアイデアからBinance劇の中で$800MのFDVへ

Aerodrome DEX上のLimitless $LMTSトークンの価格と時価総額を示すチャート

大学中退者の単純なアイデアが、Binanceのような巨人に挑む暗号通貨の強豪へと変わることがあるか、と考えたことはありますか?それがLimitlessの物語です。ここでは、その控えめな始まりから、今話題の$LMTSトークンのローンチまでを順を追って解説します。

火花:2021年、20歳のビジョン

すべては2021年、20歳のCJ Hetheringtonが大学を中退してクリプトに夢を追ったところから始まりました。Limitlessの前にも、CJはソーシャルメタバースプロジェクトのAtlantis Worldで200万ドルを調達するなど成功を経験していました。彼の大きな考えは「クリプトをシンプルに、ソーシャルに、誰にでもアクセスできるようにすること」。難しい専門用語や障壁は排して、日常のユーザーでも使えるツールを提供することが目標でした。

予測市場(prediction markets)は、選挙やスポーツの試合など現実世界の出来事の結果に賭けるプラットフォームです。株式市場のように確率を売買する場で、透明性とセキュリティのためにブロックチェーンが活用されます。

チーム作り:2023年の基盤

時は流れ2023年、CJはRev Miller、Roman Mogylnyi、Dmytro Horshkovの3人とタッグを組み、ドバイでLimitless Labsを立ち上げました。焦点はAIを取り入れた予測市場です。注目すべきは、大規模なベンチャー資本に頼らずブートストラップで進め、スリムかつ革新的に運営している点です。

ドバイのクリプトに寛容な環境も追い風になりましたが、彼らを際立たせたのは「従来の金融が抱えるリスクを伴わずに誰でもイベントに賭けられるツールを作る」というビジョンでした。

Baseでの早期ローンチ:2024年の突破口

2024年、LimitlessはCoinbaseのレイヤー2(Layer-2 / L2)ブロックチェーンソリューションであるBase上でデビューしました。レイヤー2とは、Ethereumのようなメインチェーンの上に構築され、トランザクションを高速化・低コスト化するネットワークです。Baseが注目を浴びる前のタイミングでのローンチは見事に決まりました。

プラットフォームは、短期イベントの結果を即時決済で取引できる点が特徴です。追証(マージンコール)はなく、レバレッジも使わず、隠れたリスクもありません。ユーザーフレンドリーで、多くの利用者を惹きつけ、実行からわずか1週間でボリュームが800%増加。さらに、著名な暗号系VCである1confirmationがリードする300万ドルのプレシードを確保しました。

大舞台:2025年の成長と対立

2025年までにはLimitlessは勢いを増していました。Arthur HayesのMaelstromやCoinbase Venturesなどからさらに400万ドルを調達。プラットフォームの取引ボリュームは2.5億ドルを突破し、外出先でも賭けやすいモバイルアプリも公開しました。

しかし、そこに世界最大の暗号取引所であるBinanceとのドラマが持ち上がります。報じられるところによれば、Binanceは上場の条件としてLimitlessに対しトークンの8〜9%と225万ドルもの預託を要求したとのこと。CJは交渉のスクリーンショットを公に晒し、対抗しました。Binanceの創業者CZは彼を「clout chaser(注目稼ぎ)」と切り捨て、SNS上で彼をミュートしたと伝えられます。

このやり取りは反発を招きました。BaseのJesse Pollakや6MVのMike Dudasといった影響力ある人物たちがCJを支持し、Limitlessを「反CEX(中央集権型取引所)」のヒーローとして擁護しました。背景には、仲介者なしのピアツーピア取引を重視するDeFiの価値観があり、Limitlessの理念と合致していたのです。

クライマックス:2025年10月22日、$LMTSトークンのローンチ

盛り上がりは2025年10月22日にピークを迎えます。$LMTSがBase上の分散型取引所(DEX)であるAerodromeでローンチされたのです。DEXはユーザーが自身のウォレットから直接取引でき、中央集権的な管理を避けられる点が特徴です。

結果は衝撃的でした。トークンのFDV(fully diluted value)は8億ドルを超えました。これは全トークンが発行された場合の総時価総額を示します。これまでの調達総額は合計1800万ドル、ローンチ時点でプラットフォームの累計ボリュームは5億ドル、ユーザー数は37,000人に達していました。

暗号コミュニティでは、この出来事はアンダードッグの勝利と受け取られています。あるスレッドの返信にあったように、Binance上場の銘柄の多くはチャートで振るわない例も多く、草の根の支持と透明性が名の知れた後ろ盾を凌ぐことがある、という指摘がなされました。

MemeトークンのエコシステムにおけるLimitlessの意義

Limitlessは純粋なミームトークン(Dogecoinのようなバイラルでコミュニティ主導のコイン)ではありませんが、その物語はミーム界隈に響く要素を持っています。ミームトークンは物語性、ドラマ、反体制的な雰囲気で盛り上がることが多く、Binanceとの対立劇はまさにその典型です。加えて、遊び心のあるソーシャルな賭けの要素は、真面目な技術とミーム的な親しみやすさを橋渡しします。

予測市場に注目するブロックチェーン実務者にとって、LimitlessはBaseのようなL2チェーン上で構築することでアイデアを迅速にスケールできる好例です。$LMTSの取引はAerodromeでチェックし、アプリの詳細はLimitlessの公式サイトを参照してください。

このローンチは単なる数字の話ではありません。大胆なアイデアとコミュニティの支援が現状を覆すことができるというリマインダーでもあります。Limitlessの次の一手は何か——それは時間が教えてくれるでしょうが、彼らの船出はまさに「limitless(無限)」の名に相応しいスタートです。

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