変化の激しい暗号通貨界隈では、有名人の動きひとつで価格が急騰することがあるが、最近Lookonchainの調査が話題を呼んでいる。彼らの最新ツイートによれば、人気YouTuberのMrBeast(本名 Jimmy Donaldson)がさらにASTERトークンを購入し、保有総量が705,821 ASTER、推定で約128万ドルに達したとされる。
"smart money"の動きをチェーン上で追うことで知られるLookonchainは、MrBeastに紐づけられたウォレットが320,587 USDT(米ドルにペッグされたステーブルコイン)を支出して167,436 ASTERを取得したことを示すトランザクションのスクリーンショットを共有した。これは数時間前の取引で、過去数日にわたる買いのパターンに続くもので、ウォレットはChangeNOWなどのサービス経由でUSDTを入金し、その後Aster protocolのボールトらしき場所からASTERを引き出しているように見える。
補足すると、ASTERはBNB Chain(Binance Smart Chain)上に構築された分散型取引所Aster DEXのネイティブトークンだ。一般的なmeme coinというよりは、スポット取引や高レバレッジの永久先物を提供するプラットフォームのユーティリティトークンに近い。AsterはSolana、Ethereum、Arbitrumといった複数チェーンをサポートし、グローバルなトレーダー向けのワンストップサービスを目指している。トークンはエコシステムを支え、総供給量は80億枚で、DeFi領域で存在感を高めつつある。
今回がLookonchainによるMrBeast関与の初指摘というわけではない。9月26日には、彼が過去3日間で538,384 ASTERを約99万ドルで購入したと報告しており、パブリックウォレットと新しいウォレットを混ぜて取引が行われたとしている。平均取得価格は1トークンあたり約1.87ドルだという。これらの解析はArkham Intelligenceなどのツールに基づき、一部のアドレスに対してオンチェーンの挙動からラベル付けを行っている。今回のケースでは、OpenSea上のNFTや「WuTangClan」といったラベルを介してウォレットとMrBeastを結びつけていると示唆されている。
しかし、ここで興味深いのはMrBeast自身がこれらの主張に反論している点だ。9月21日の時点で、あるツイートに対して彼は「そのコインのことは聞いたことがないし、それは私のウォレットじゃない。ついでに言うと、私はミームコインは絶対やらないから、私を名乗る偽物に騙されないでくれ」と述べている。この否認はLookonchainの投稿に対する返信欄で懐疑的な反応を生み、矛盾点やウォレットの帰属に対する疑問が投げかけられている。
では真相はどうなのか。Arkhamのラベリングは的確なのか、それとも誤認があるのか。ブロックチェーンの世界ではウォレットの所有権は必ずしも明確ではなく、ラベル付けは既知の取引所からの資金フローや関連NFTなどのパターンに依存する。数百万のフォロワーを持ち、慈善企画で知られるMrBeastが暗号資産に関与すればASTERの認知度は一気に高まる可能性があるが、本人の否定は注意喚起にもなる。投資を考えるなら、常にDYOR(自分で調べること)が重要だ。
現時点でASTERの価格はこの種の話題で勢いづいており、今回の噂が追い風になっている可能性が高い。DeFiの取引を検討している人や著名人の暗号資産動向に興味がある人は、CoinMarketCapなどのプラットフォームで最新情報をチェックしてほしい。これはMrBeastがDeFiに本格参入した話なのか、それとも単なる誤認なのかにかかわらず、オンチェーンデータがユーティリティ志向のトークンでさえミーム的な熱狂を巻き起こし得ることを改めて示している。
続報をお楽しみに。暗号界は眠らないし、Lookonchainの見張りも同様だ。注目トークンやブロックチェーンの騒動に関するさらに詳しい解説は、Meme Insiderのナレッジベースを参照してほしい。